選ばれる株
保険業とファイナンシャル・プランニング最後に、 もう一つの販売業社で、ある保険業による投資信託の販売ですが、これまでのところそれ程注目を集めている訳ではありません。
しかし保険の販売業者の動向を見ると、業者聞の競争と他業態からの参入が進むなかで、保険販売しか手掛けないという運営は難しくなりつつあります。
そこで、保険業者、 とりわけ生命保険の販売業者の間でファイナンシャル・プランニングをベースにおいて保険に加えて投資信託を販売しようという機運が高まっています。
元来、ファイナンシャル・プランニングは生命保険の販売貝が顧客に商品を勧めるにあたっての説得のための道具として使われてきたという経緯もあります。
これまでの保険販売のためのリスクに備えるプランニングを、資産形成をも組み込んだトータルなプランニングへと昇華させることで、 ミューチュアルフアンド販売の足がかりにしようとしているのです。
既存顧客との関係強化も期待できることから、保険会社によるトータル・プランニングはトレンドとして定着するものと思われます。
アメリカン・エクスプレスが、自らファイナンシャル・プランナーを抱えてミューチュアルファンドを販売しているのに対し、全米各地に散在する独立系のファイナンシャル・プランナーと提携してファンド販売を1Tっているのがチャールズ・シュワッブです。
チャールズ・シュワッフ申は米国最大のディスカウント・ブローカーです。
ディスカウント・ブPローカーとは、顧客に独自のリサーチや投資アドバイスなどを提供しない代わりに割安の手数料でブローカレッジ業務を行う証券会社を言います。
Mなどのようにリサーチなどの全てのサービスを提供するフルサービス証券会社に比べると、シュワッブの手数料率は半分から3分の1程度の水準になっています。
今日ではディスカウント・ブローカーのシェアは個人投資家による証券売買手数料シェアの15%を占めており、完全に個人投資家に定着した存在となっています。
シュワッブはその中で48%のシェアを持つ業界のリーダー的存在です。
競争の厳しいディスカウント・ブローカー業界で、シュワッブが首位を維持してきた背景には、同社が新しいサービスや新しい技術を取り入れる積極性と柔軟性を発揮してきたことがあります。
その一つが92年に導入された「ワンソース」というミューチュアルファンド販売のための画期的な仕組みです。
投資家はシュワッブを指示するだけでワンソースに含まれている複数のファンドを手数料無料で売買することができるのです。
もっとも、ワンソースのフアンドは基本的に販売手数料無料のノーロード・ファンドばかりですから、投資家が直接にフアンド会社に売買注文を出しても手数料が無料であることに変わりありません。
しかし、ワンソース内のファンドはシュワッブの目を通ったものばかりであり、投資家は安心して投資することができるというメリットがあります。
また、ワンソース内の複数のファンドに投資しても報告書は一本化されて投資家に送付されるため、大変便利です。
他方、ファンド会社としては、シュワッブが擁する多数の顧客に対してファンドをアピールできるというメリットがあります。
フェデレーテッドやドレイファスなどの大手の他、チエース・マンハッタンやネーションズバンクなどの銀行系のファンドもワンソースに組み込まれています。
このほか、ワンソースには、運用資産が5、000万ドル程度の小さな会社のフアンドもいくつか見受けられます。
今日、長期ファンドが8、000本を超える過密状態の中では、ファンドを成功に導くためには、高いパフォーマンスを上げると同時に知名度向上などのマーケテイングを行うことは不可欠の要素となっています。
小規模なファンド会社は十分な宣伝広告を行えないため、存立しにくいと言われてきましたがIワンソース」を利用することでこれらの小規模なファンド会社でも生き残りの余地が広まったと評価されています。
ワンソースを利用するファンド会社は、ワンソースで販売されたファンドの残高の0。
25%-0。
35%の年間手数料をシュワッブに支払うことになります。
投資家にワンソースの利用手数料がかからないのは、このようにファンド会社側が経費負担をしているためです。
97年6月時点で100以上のファンド会社の750本のフアンドが含まれています。
残高も495億ドルとなっています。
95年末には370のファンドで残高は239億ドルでしたから、ファンドの本数、残高とも2年間で倍増したことになります。
シュワッブは、ワンソースを活用してサービスの多角化を図っています。
第一に、銀行がミューチュアルファンドを販売する際の器に転用する方法です。
大手米銀で資産規模でトップ10に入るキーコープは、 96年からワンソースを「キー・ゲートウェイ」の名称で取り入れてミューチュアルファンド販売を進めています。
これによって、キーコープは一夜にしてワンソースの持つ数百のフアンドを自行の顧客に提供できるようになったわけです。
第二が、全米各地に散在する独立系のファイナンシャル・プランナーと提携する方法です。
ファイナンシャル・プランナーは、顧客に対して資産形成のプランや節税・相続などに関するアドバイスを有料で提供する専門家です。
プランナーは、顧客に資産運用プランを提示した後、それに則って証券の売買を行う必要があります。
そこに目を付けて、プランナ一向けにワンソースの仕組みをいち早く提供したのです。
シュワッブ・インスティテューショナル」と呼ばれるこのサービスは、ワンソースの750フアンドにプランナーのみが購入できるファンドを加え、手数料なしでファンドを売買する利便性をプランナーに提供するものです。
しかも、シュワッブは、プランナー専用のポートフォリオ分析サービスやフアンド情報サービスなどの付加的サービスを組み合わせることで、プランナーにとって使い勝手のよいサービスを実現しました。
その結果として、今日では、約半分のプランナーがシュワップのサービスを利用している模様です。
Fやジャック・ホワイトなどもシェアを伸ばしているようですが、早くからプランナーとの提携に着目したシュワップが依然として高いシェアを誇っています。
96年末のワンソースの残高392億ドルの内、シュワッブ・インスティテューショナルの残高は178億ドルであり、そのシェアは45%となっています。
同社の預り資産に占めるプランナー経由の資産の比率も徐々に拡大し、 96年末には29%になりました。
プランナー経由の預かり資産の比重が拡大しているということは、シュワッブにとっては、間接的な顧客ベースが増えていること以上に重要な意味合いを持っています。
シュワップは顧客にアドバイスを行わないディスカウント・ブローカーであり、-自分のことは自分で決められる投資家」をターゲットにしていた会社です。
ところが、プランナーに対して品揃えを拡充し、様々なサポートサービスを提供することによって、「自分のことを自分で決められない投資家」のマーケットにまで侵入したのです。
事実シュワッブは、アドバイスを求める顧客に対しては提携しているプランナーを紹介するというサービスを始めています。
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